ドイツ南西部に位置するバーデン=ビュルテンベルク州(Baden-Württemberg)の都市フライブルクは、フランスやスイスとの国境に近く、「黒い森(シュヴァルツヴァルト)」の玄関口としても広く知られています。年間を通じて日照時間が長く、ドイツで最も温暖な気候に恵まれていることから「ドイツの太陽の街」とも称されます。中世にツェーリンゲン公によって創設されたこの街は、ハプスブルク家の統治下で長く栄え、現在も街中の路地を流れる小さな水路「ベッヒレ」や美しい石畳が、私たちに古都の風情を伝えてくれています。

その一方で、その歴史は決して平坦なものではありません。第一次世界大戦では西部戦線に近く、戦火に巻き込まれ、第二次世界大戦末期の空襲では旧市街の大部分が破壊されるという悲劇に見舞われました。戦後の復興においてフライブルクは、ドイツの多くの都市が選んだ近代化の道ではなく、あえて「中世の街並みを忠実に再現する」という稀有な選択をしました。その結果、奇跡的に戦火を免れたフライブルク大聖堂を中心に、石造りの古風な街並みが今もなお息づいています。こうして再建された旧市街と隣接するように、フライブルク市街には大学関連の近代的な建築や環境配慮型の地区が共存しています。歴史的な美しさと現代的な利便性が隣接する独自の景観は、この街の大きな見どころになっています。

フライブルクは大学都市としても名高く、街は1457年創立のアルベルト・ルードヴィヒ大学フライブルク(フライブルク大学)を中心に活気に満ちています。ハイデッガーやフッサール、ハイエクといった知の巨人を多数輩出したこの大学は、ドイツで2番目に古い歴史を持ち、深い知性に満ちています。世界中から集まる留学生の多さもこの大学の特徴で、フライブルク市街はさまざまなルーツを持った学生たちで賑わっています。中世の趣を残す本キャンパスのクラシカルな佇まいと、対照的に洗練されたガラス張りの外観を持つ現代的な大学図書館や最新の研究施設が隣接する様子は、伝統を重んじつつ知の最前線を走るフライブルクの象徴的な光景です。

また、都市機能と自然が美しく調和している点も大きな魅力です。旧市街から新市街、静かな住宅街に至るまで、街全体はトラム(路面電車)が縦横無尽に巡らされ、市民の足になっています。環境先進都市としても名高いフライブルクは、こうしたトラムの充実や、自動車乗り入れの規制などを実施し、利便性と環境保護を両立させています。ひとたび街の外へ目を向ければ、すぐそばにはシュヴァルツヴァルトの深い緑が広がっています。ローカル列車に揺られてすぐの場所には、ティティ湖(Titi See)をはじめ透明度の高い美しい湖が数多く存在し、週末には豊かな自然の中リフレッシュする学生・市民の姿もたくさん見られます。こうした穏やかで豊かな自然に支えられて醸成されたビール文化や食文化も必見です。

近隣都市への旅も非常に魅力的です。同じ州内にあり、ドイツ最古の大学を擁する古都ハイデルベルクへは特急列車(ICE)を利用して北へ1時間ほど。さらには欧州議会が置かれるフランス・アルザス地方の要衝ストラスブールや、ライン川屈指の文化・芸術都市であるスイスのバーゼルもICEで1時間ほどの距離に存在しているため、気軽に訪れることができます。3カ国の文化が交差するこの地域一帯は、欧州の多様性と豊かな文化を肌で感じられる環境と言えるでしょう。

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