(こちらは交換留学ではなく、大学院進学の報告となります)
SFC生活とドイツ留学を経て
高橋 由衣
環境情報学部2021年度卒
留学先:ドレスデン工科大学(ドイツ)
この紹介ページを読んでくださっているみなさん,はじめまして!
私はSFCを2021年に卒業して,ドイツにあるドレスデン工科大学というところで修士課程を受けています.この記事を書いている時点で卒業まで4ヶ月しかないので,みなさんが読んでいただいている頃には,また違うことをしているかもしれません.
大学では「空間開発・自然資源マネジメント科」という,地理学と環境学が混ざったような学問を学びました.その学問の中でも私の専門はGISで,現在は2つのプロジェクトに所属し,卒業制作として熱流データベースのWebアプリケーションを作成したり,アフリカ豚熱に関する地理データを管理したり分析するお仕事をしています.卒業後も暫くは,引き続きドイツでGISに関する仕事やプロジェクトをしていく予定です.
SFCの学生と先生の近い距離感がきっかけで…
今となってはドイツに留学したり,本業とは別にドイツ語講師をしたりなど,ドイツ語とはきっても切り離せない関係にあります.しかしSFCに入学した当初,ドイツ語はただの第二言語として選択しただけであって,成績優秀なわけでもなく,飛び出てモチベーションがあるわけでもなく,ドイツ語の授業ではごく普通の生徒でした.
そんな私を変えたのは,ドイツ語を履修し始めて1年経った頃のことでした.1年も履修をしていると,良くも悪くも先生方に顔や名前を覚えていただけて,授業以外のコミュニケーションも増えていきました.SCFのドイツ語の先生方はとてもフレンドリーで,「自分のドイツ語を上達させて,もっとこの先生たちと話をしてみたい」と思えるようになり,2年目以降もドイツ語を履修し続けました.そんな中,3年生の春学期に,ドイツ語圏で短期留学ができる特プロの話を聞きました.英語圏以外に行ったことがなかった私は,「せっかくここまでドイツ語を勉強したのだから…」という思いで1ヶ月の短期留学を決めました.
留学中で感じた,少し言葉が通じる喜びや,それでも思ったことをちゃんと伝えられない悔しさ,様々な文化や考え方を持つ人がいる環境に刺激を受け,今度はもっと長期間留学してみたいという思いを抱きました.
正規修士留学を決めたきっかけ
短期留学から帰ってきたあとは,交換留学で1年留学するのか,2年以上の正規留学をするのか,そもそも留学は正しい選択なのかということを凄く悩みました.そんな中,とある教授の授業をきっかけに,ドイツにおける自然と共存したまちづくりに関する研究を目にすることがありました.日本とは全く違う観点からのまちづくりの取り組みに興味を持ち,また,その教授の深く広い専門性に感化され,1年の交換留学ではなく現地にしっかりと身を置き,「自分の専門はこれだ」と自信を持って言える程の知識を身につけるための留学をしたいと強く思うようになりました.
更に,当時大学3年生の冬にコロナウイルスが流行し,海外はおろか,キャンパスに行くのも困難になってしまいました.今後世界の情勢がどうなるか分からない不安と,コロナ禍でもチャンスがあるのならすぐに海外へ行ってみたいという気持ちが強まり,卒業後すぐに留学する決心をしました.
これまでの経験が結びついて
先ほど書いたように,私の修士課程はまちづくりに特化した学科で,地理学と環境学が混ざったような分野です.まちづくりと一言で言っても,幅広い分野を占めています.都市計画法や環境法などの法律系の分野から,生態学,土壌学,気象学,地理情報学などがあります.全てを包括的に勉強して都市プランナーになる人もいれば,どれか一つの分野を突き詰めていく人もいます.
私は地理情報学,すなわちGISという分野が専門です.簡単にいうと,地理的情報を持ったデータを視覚的に表したり,他のデータと組み合わせた検索・分析・管理をしたりする分野です.「まち」といった大きなフィールドを対象に効率よく視覚的に分かりやすく計画を立てるには,情報分野の介入が今や不可欠になっています.私が「地理」×「情報」でまちづくりをサポートするこのような道に至ったのも,SFCでドイツ語だけでなく,環境学や生態学,情報学といった幅広い分野を学んでからドイツへ留学をしたからだと思っています.何気なく興味のままに一生懸命積んでいった経験が,今に繋がっているのだと改めて実感しています.
私は,自由に好きなことを学べるキャンパスで学部時代を過ごせたことを本当に感謝していますし,ドイツで更に自分の考えや価値観,知識を広げられたことを嬉しく思います.これからも変わらず,自分の興味のままに突き進んでいきます.皆さんも,自分が面白いと思うことを突き進めてください!